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2006年4月17日

こんぴら歌舞伎1部(4月12日)

Konpira5 二日目。一部を観劇。一部は開演の1時間前の10時から開場なので、早めに小屋に着くようにした。この日は、前方花道寄りの席。普段は、あまり舞台に近いと舞台全体が見えないので前の席は好きではないのだが、今回は、選択の余地がないので、いわゆるかぶりつきを楽しむことにした。この日は、わたし以外は小柄なおばさまばかりで、前日よりも足をのばすスペースがありちょっと楽だった。

『仮名手本忠臣蔵』

*五段目

幕が開くと浅葱幕。右上から東太夫さんの声。声が降り注いで来る感じが心地よい。ちょっと見上げて御簾の中の東太夫さんのお顔を見たら、先月のPARCO歌舞伎のときの場内アナウンスの場面がポッと頭に浮かんできて思わず思い出し笑いしてしまった。気を取り直して舞台を見ると浅葱幕が落ち、笠で顔を隠して切り株座っている勘平。笠をすっと上に上げて勘平が顔を見せると客席からは「ほぉ~」と声にならないため息。わたしは口をあんぐり。現金なことにこの日ほどかぶりつきの席が良いと思ったことはない。なんとも美しい狩人姿。手の動きもきれい。火縄をくるくる回すところなども優雅で、褒め言葉にならないかもしれないがとても狩人には見えない。(笑)千崎弥五郎の秀調さん。千崎弥五郎ってこういう人なんだろうなと思うくらい自然に感じた。

市蔵さんの定九郎は、小悪党っぽい感じの定九郎。斜め下から見た顔が写楽の絵を連想させる。口から血を垂らすところはウソと分かっていても近場で見ると結構ドキっとする。

※5段目と6段目の間に10分くらいの休憩

*六段目

家に戻ってきた勘平。正確な場面は覚えていないのだが、家に入ってからほどなく、「かる」と優しいちょっと甘い響きを含めた勘平の呼びかけに戸口に立っていたお軽が振り向くその間と横顔がなんとも言えず二人の世界を作っていた。この「かる」と名前だけを呼ぶときが後にも一回あるのだが、こういう風に呼ばれるお軽がちょっとうらやましいぞと思ってしまった。今回亀治郎は、全部で、5役と大活躍だが、わたしは、このお軽が一番自然な感じがして好き。

舅を殺してしまったと思いこんでいる勘平の苦悩の様子は、見ているこちらもつらくなってしまうほど。この美しい青年が思い違いではあるが苦悩の果てに自害するという結末に向かうにつれ、ますます勘平に対する哀れみの気持ちが強くなっていく。「いかなればこそ勘平は...」の台詞を聞いていると切なくなってくる。死ぬ前に、舅殺しの疑いも晴れ、連判状に血判も押せ、安良かな気持ちになれた勘平の最後の顔はお人形さんのように綺麗だった。

いつもは、義太夫はBGM程度にしか聞いていないというか聞けていないのだが、今回は、聞きやすい場所に座っていたことと喜太夫さんということもあってかとても分かりやすかったのは良かったのだが、連判状に血判を押すところで「...臓腑を掴みだし血判...」。ひょえぇぇ~!! その語りに、ちょっとリアルに頭の中でビジュアル化されてしまった映像にビビってしまった。義太夫の語りと役者の台詞としぐさが一体となった面白さを一瞬だけれども実感できたのは良かったが、もうちょっと違う場面の方が...。とはいえ、至福のひとときだった。

ちょっと気になっていること。3人の猟師が与市兵衛を運んでくるのだが、戸板を持っている2人は、最初は鉄砲を担いでいないのは分かる。が、戸板を家に運び入れ、花道を戻るときには、なぜか、後ろの1人だけ鉄砲を担いでおらず、手ぶらでちょっと手持ち無沙汰風。これって、忘れてきちゃったってことなんだろうか?(笑)

『朝妻船・まかしょ』

これまでに、三津五郎の女形を見たことがないので、どんなもんかと思っていたのだが、いやいやどうしてどうして、綺麗で色っぽいのにびっくり。目元が心なしか従姉妹の女優さんに似ているような気がした。朝妻船からまかしょに暗転するときに二階の戸を順に閉めていくのが目に入った。改めて、昔は、こういう効果も全て人力でやっていたのだということを実感。まかしょでは、一転して、おもしろ顔のお坊さん。花道の七三のところで酔態の様子(?)を見せるのだが、下から見ていると客席に落っこちそうな感じで思わずおっとっとと手がでてしまう。結構、長い時間花道で踊っていたので、下から見ていると踊りよりもおもしろ顔ばかり目に入ってくる。(笑)

と、1部、2部ともに堪能。どの演目も座組もそれぞれに見ごたえがあった。ただ、わたし自身が、平場で見つけないために、どうしても最後の方になると集中力が欠けてきてしまった。

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コメント

>安良かな気持ちになれた勘平の最後の顔はお人形さんのように綺麗だった。
升寿さんの腕に抱かれ、そして升寿さんの涙・・・なんか、ジーンときちゃいました TT 。私の周りは「前舟」で前のめり。完璧!金縛りになっておりました。
美しすぎる勘平に、勘平イメージ一新!はるばる行った甲斐がありました♪

投稿: 恵美 | 2006年4月18日 20:54

升寿さんにもたれて落ち入るときに、ふっと血の気がなくなって、
勘平さんが陶器でできたお人形さんのように見えました。
お目当ては与右衛門だったんですけど、
勘平さんにすっかりやられました。(^^)

投稿: kirigirisu | 2006年4月18日 23:20

【豆若茶房】の若菜です。コメントいただきっぱなしで・・申し訳ありませんでした。
もうすぐ、こんぴらから帰ってきて1週間になるというのに、
頭の中は三津五郎さんでいっぱいで(笑)
自分の感想もままならない状況です。

今回、一部・二部と見て、海老蔵さんの成長っぷりに驚かせられました!
見に行く前は、亀治郎さんが全て初役なので・・話題を持ち去っていくかな?と思っていたのですが・・
見事に海老蔵さんに持っていかれました!!

kirigirisuさんは『まかしょ』の時に、三津五郎さんの「おもしろ顔」を堪能されたようですね!
いつも正端なお顔なので・・そんなオイシイショットが拝めたなんて・・羨ましいです。

團菊祭も楽しみですね♪

投稿: 若菜 | 2006年4月19日 12:00

>頭の中は三津五郎さんでいっぱいで(笑)
>自分の感想もままならない状況です。
うんうん、わかります。その感じ。「お芝居どうだった?」と人から聞かれて、どう良かったのかを立て板に水のように語れるときと、自分の中で思いがいっぱいで「うん、すっごく良かった」としか言えないときとありますよね。(^^)

「まかしょ」の三津五郎さんはちょうど真下から見上げるような感じでしたので、お顔がクローズアップのように目に入ってきました。(笑)

海老蔵さんは、おっかけ甲斐があります。(^^)

あと10日あまりで團菊祭ですね。楽しみ楽しみ♪

投稿: kirigirisu | 2006年4月19日 13:50

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募る思いが錯綜し・・ズルズルと時間だけが過ぎ、第一部の感想をUPするのが遅くなってしまいました。いろいろなことがありすぎて、うまくまとまっていないのは、私自身の気持ちがフワフワしているからでしょう。ご覧になって、眉を顰めてしまうような表現があるかもしれませ....... [続きを読む]

受信: 2006年4月19日 11:52

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