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2006年5月14日

坂東三津五郎丈@柝の会セミナー

演舞場の昼の部の後に柝の会のセミナーに行ってきました。今日のゲストは、坂東三津五郎丈。時間の都合でいつもよりはちょっと短めでしたけれど内容は濃かったので満足。お芝居は視覚的にある程度覚えていられるけれど、お話は右から左へと抜けてしまうので、忘れないうちにざっと書いておくことする。ザル頭なので内容が抜けているところも多々。

前座というわけではないけれど、三津五郎さんが歌舞伎座の「吃又」を終えてから会場に到着する間、元歌舞伎座支配人で現在伝統文化放送(歌舞伎チャンネル)社長の金田栄一氏のお話。内容は、

1.歌舞伎座の建て替えについては、10年以上前から検討されていた。知ってのとおり、現在、検討中であることは新聞に発表されている。具体的な時期については、今は知る立場にないので分からない。近いうちに建て替えられるだろうとのこと。現在の建物を残して欲しいという意見が大多数ではあるけれど、建築材料の耐久性、耐震性や防災の点で非常に難しい等。

2.歌舞伎チャンネルの毎月のパンフレットは、自分が社長になってから、ちょっと面白くしたと、さりげなく宣伝(^^)。演劇界に広告を出しているが広告料を支払う代わりに原稿を書いている。今月号の梅と桜について書いた内容について。

10分ほどの休憩の後、三津五郎さんと金田さんの対談形式で進められた。(細かい記憶違い、話が前後しているかもしれませんが平にご容赦ください。)

金田氏(以下「金」):今月は、歌舞伎座に出演中。外郎売から吃又と割合と出番が集中しているようだ。

三津五郎丈(以下「三」):遅く来て早く帰るというのが一番良い。でも、なかなかそうもいかない。今月は、成田屋さんの復帰でとにかく嬉しい。襲名10日目で勧進帳の代役を務めたのがちょうど2年前。(と感慨深げな様子)

金:勧進帳の最後の六方で手拍子が起きたが、あれはどうか?

三:(少し間をおいて)微妙。勧進帳のような芝居では印象が軽くなる。ピンチを乗り切ろうとしている弁慶と急な代役のピンチを乗り切ろうとしている三津五郎とがオーバーラップしてのことだと思うので、お客さんの反応は嬉しい反面、命がけで関所を通り抜けたところに手拍子はどうだろう...。(と手拍子はない方が良いという印象を受けた)喜劇だったら良いけれど。【とフォロー】

金:個人的に、あの六方の手拍子はやめて欲しいと思った。

  役者さんは、あまり楽屋から出ない人が多いように思うが?

三:人による。中途半端な時間はつぶしにくい。

【とその後に、以前に名古屋で、5時間半くらい空き時間があったときにゴルフに行って渋滞に巻き込まれて大変だったという話を身振りを交えて面白おかしくご披露】

【あまり休みがないのではないかという問いに対して】

三:この一年近くは、歌舞伎から離れていた。歌舞伎座は、去年の夏以来の出演。歌舞伎は、去年の10月以降、先月のこんぴら歌舞伎まで出演していない。

長い間歌舞伎から離れるとお化粧ののりが悪くなる。芸がやせるような気がする。歌舞伎は出てきただけでその役の雰囲気を出すことが必要。それには日々舞台に出続けることが大切。

金:8月の納涼歌舞伎では、新作を出すようだが?

三:落語の「たのきゅう」からとった話を舞踊にする。

【あらすじを簡単に説明してくれたが、落語が題材なのでかなり面白そう。坂東吉弥さんのお孫さんを三津五郎さんが預かっているそうで、8月の納涼歌舞伎で初舞台を踏む予定。納涼歌舞伎が始まってから、歌舞伎座で12ヵ月歌舞伎を出すようになったという話がでた。】

金:今月の「吃又」は本舞台で終わり、引っ込みがつかないが?

三:今月は、丸本にそったスタンダード版。初役のときに松緑(2代目)のおじさんに教わった。花道の引っ込みはおとくを引き立てるため。吃又を中心に考えれば本舞台で終わった方が自然。松緑おじさんもそのやり方の方がよいと言っていた。以前の「吃又」は、喜劇的要素が多かったが、それを6代目が人間ドラマとして組みかえた。

金:最近、昔と比べて笑いやうける個所が変わったように思うが?

三:確かに変わっている。特に世話物は、観客の実生活との共感を感じさせる要素が大きいが、共感できる人が少なくなった。逆に、去年の名古屋で演った「お国と五平」は7年前は、引いているお客さんが多かったが、今回は、「面白い」という反応が返ってきてびっくりした。

【聴衆とのQ&A】

Q:現在放映中の「功名が辻」の光秀について

A:脚本家の意図を汲んで歌舞伎役者っぽく演じているで、歌舞伎っぽいって言われるのは不本意。時代に取り残されたというよりは、日本の文化を大切にする文化人として描かれている。

Q:今後、やりたい役は?

A:鳴神や獅子を飼うなどがそうだったように、自分で望むよりも頂いた役の方が大きくステップアップできるように思う。恋愛モノは苦手。【ちょっと自嘲気味におっしゃってました(^^;】熊谷など男と男のドラマをやりたい。

Q:映像の是非について

A:映像は、記録(資料)として残せることはプラスである。が、後で見れば良いという思いが出てくるのがマイナス。父親の時代は、自分で唄を覚えてからフリを覚えた。録音機器がない時代から人から人へと伝えられてきた力は素晴らしい。今、世話物に危機感を感じる。長屋の生活、火鉢、鉄瓶など演じる方も見る方も知らない人や実体験のない人が多い。多少のごまかしは通ってしまう。

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コメント

うわぁ~、精密(笑)なレポ、ありがとうございます。
いわゆるテープ書き起こしってヤツですか?じっくり楽しませていただきました。
>金:勧進帳の最後の六方で手拍子 三:(少し間をおいて)微妙。
やっぱり?(笑)
こうゆう役者さんのご意見は嬉しいですね。どうしてほしいとか知りたいものです。客席だってそれなりに参加しているつもりですものね~。
>「お国と五平」7年前は、引いているお客さんが多かったが、「面白い」という反応が返ってきてびっくりした。
時代とお芝居は、やはり流行ってありますよね。昔ダメだったお芝居も、再演していただけたらウケるかも♪みたいです。

投稿: 恵美 | 2006年5月15日 11:21

もうちょっとまとめれば良いのですが、ノートを持っていかなかったので、文字通りちらしの裏(笑)に箇条書きにしたメモを元に忘れないうちにとりあえず書いたので、ところどころすっ飛んでます。(^^; 

勧進帳の手拍子は、ホントやめていただきたいです。金田さんの言葉にウンウンとうなずいてしまいました。以前に歌舞伎を見ていた頃に見た白鴎さんや松緑(2代目)さんの弁慶の引っ込みは、客席も固唾を呑んで見守っていて、揚げ幕に引っ込む直前か引っ込んだ後に「うぉ~」と割れんばかりのすごい拍手。役者と客席が一体となった緊張感と弁慶の後ろ姿が記憶に残っていたので、2年前に勧進帳の手拍子を聞いたときは、わたしはひっくり返りそうなくらいビックリしました。三津五郎さんの「芝居の印象軽くなる」という言葉のとおりだと思います。

>昔ダメだったお芝居も、再演していただけたらウケるかも♪
という話もでていました。それよりも、世話物に対する危機感をかなりお持ちのようだという印象を強く受けました。また、思い出したことがあったら追加しますね。

投稿: kirigirisu | 2006年5月15日 12:20

詳細なレポありがとうございます!!
平日休みの私は・・断腸の思いでセミナーを諦めました。
(その代わり・・月末の後援会の集まりには出席します!)

落語から題材を得て・・それを舞踊にするんですかぁ!
きっと『馬盗人』や『芋掘長者』みたいな感じになるのではないでしょうか?
今からと~っても楽しみです。(そして私の予想は見事に外れました)

坂東吉弥さんのお孫さんを三津五郎さんが預かっているそうなんですね。
全く知りませんでした。まぁ、知る余地もありませんが・・。
これもなかなか・・気になるところです。

三津五郎さん・・大勢の方の前ではいろいろ最新情報を
仰って下さる傾向があるので(私が感じるに)
ご本人の口から直接、情報を得ることができて・・羨ましいです。

例の『勧進帳』、私は歌舞伎チャンネルで見ました。
私の中では2番目に心に残っています。
1番はやはり歌舞伎チャンネルで見たものですが
昭和47年10月歌舞伎座で海老蔵さん(團十郎さん)
初代辰之助さん、吉右衛門さんが
弁慶・義経・富樫を交代で勤めた舞台です。

投稿: 若菜 | 2006年5月15日 12:57

kirigirisuさん、こんにちは。

すご~~い記憶力!!感動です・・・。
吉弥さんのお孫さん、初舞台を踏まれるのですね。
吉弥さんが亡くなられてから、その前年に初お目見得をされていたお孫さんがどうされたのかがすごく気になっていたんです。そのことを知ることが出来てとても嬉しいです。
ありがとうございました。

投稿: rika | 2006年5月15日 14:02

若菜さん、こんにちは。
三津五郎さんのお話を聞くのは初めてでしたが、とても面白いし、短い時間でしたけれど色々なお話が聞けて大満足です。周囲に配慮をしての受け答えの中に、ところどころ、ちらっと本音をおっしゃっているところもあるようにお見受けしました。(^^)

「たのきゅう」は、とっても面白いお話のようですので、わたしも楽しみにしてます。

坂東吉弥さんのお孫さんについては、補足すると、吉弥さんから「(一人前の役者にすることを)遺言のように頼まれているので」とおっしゃっていました。坂東小吉さんで初舞台を踏まれるそうです。

そうそう、補足ですが、映画についてもお話されていました。きっと、後援会のときにもお話なさるんじゃないでしょうかしら。(^^)

投稿: kirigirisu | 2006年5月15日 14:08

rikaさん、こんにちは。
わたしの記憶力はウルトラマン級で3分とは言いませんが、3時間くらいするとましてや一晩寝るととすっかり抜けてしまいますので(たとえが古くてすみません(^^;) 、帰ってきてから超特急で書きました。(笑)

三津五郎さんのお話の感じでは、吉弥さんはとてもお孫さんのことを気にかけていらしたようです。

投稿: kirigirisu | 2006年5月15日 14:16

kirigirisuさんも析の会、いらしてたんですね~!
レポですが、TBさせていただきました。

三津五郎さんのお話、とても面白かったですね。短いながらも色んな話を聞けたので(そして実演も見れたし♪)1時間以上お話を聞いたような満足感に浸っています。 8月の納涼も今から楽しみです!

投稿: achacco | 2006年5月16日 03:18

>kirigirisuさま
風知草のとみです。
これだけの講演録起こそうと思えば,ワタクシなら一週間かかってしまいます。(実は,月初めに観劇するのはそのためだったりして…)ありがとうございました。
>脚本家の意図を汲んで歌舞伎役者っぽく演じているで、歌舞伎っぽいって言われるのは不本意。
それぞれのお役の作りこみが伺え,吃又さんと同じこだわりのアーティストであられることに感銘しました。
>命がけで関所を通り抜けたところに手拍子はどうだろう...。
勧進帳でほろほろ泣けたのは丈が初めてでした。やはり,命かけられていたのですね。
よいお話をありがとうございました。

投稿: とみ | 2006年5月16日 12:52

achaccoさん、こんにちは。
実は、1年ほど前から柝の会のセミナーにはちょこちょこ参加させて頂いています。(^^) 役者さんのお話だけでなく歌舞伎にまつわる方々(衣装、大道具など)の興味深いお話を聞くことができますよ。(ちょっと宣伝モード)

三津五郎さんは、お話が上手なのでいつもよりも短い時間でしたけれど、色々なお話を実演つき(笑)でうかがえて内容は濃かったですね。

8月の納涼も楽しそうですね。いまからワクワク♪

投稿: kirigirisu | 2006年5月16日 16:18

とみさん、こんにちは。

三津五郎さんの弁慶は、本当に素晴らしかったですね。それだけに、あの手拍子はかえすがえすも残念に思っています。世話物に対する危機感はかなりお持ちのようでした。江戸弁を話せる三津五郎さんに、もっともっと世話物をやって頂きたいですし、若い方々に伝えていって欲しいと思います。

投稿: kirigirisu | 2006年5月16日 16:34

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第197回 析の会セミナー(坂東三津五郎丈を迎えて)に行ってまいりました。 参加者はやはり析の会会員の方が多いようです。ご年配の方が多くてアタフタする私たち(苦笑) 18時半〜開演でしたが、三津五郎さんは歌舞伎座で18時頃まで吃又に出演中。 そこで、第一部は金田栄一さんのお話から。現在は伝統文化放送代表取締役で前・歌舞伎座支配人の金田さん。もちろん歌舞伎チャンネルの宣伝(笑)や現在「演劇界」でご自身が連載中の記事紹介もありましたが、最近話題の歌舞伎座の建替えについての話題がメインでした。 ... [続きを読む]

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