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2006年5月16日

5月演舞場 昼の部

日曜日(14日)に演舞場の昼の部を観てきました。近くに座っていたおじさまが演目が終わるたびに、お連れの方に「いやぁ~こりゃぁいいねぇ」「こりゃ~面白い」を連発。聞くとはなしに聞こえている声にわたしもなんだか嬉しくなってしまうくらい。心から楽しんでいる様子。三番叟が終わった後は、「こりゃ~よかったね。うん、いいよぉ!」「これで歌舞伎も安泰だ」「段四郎さんもうれしいだろうよ」などなど。夏祭では、「播磨屋っ!」と花道の吉右衛門さんに声を掛けていた。いいなぁ、わたしも掛けたかった。

わたしの感想も「こりゃ~いいねぇ。面白いよ!」との一言につきる。

『ひと夜』

信二郎さんの「松っちゃん」ぶりを他のブログで読んでいたのでそれなりに覚悟をしていたせいか、思ったよりは意外性を感じなかった。でも、初日に見たら目が点になっていたかも。松っちゃんの高い声を聞いたときに、以前ある講演会で信二郎さんが女形をやりたいと言っていたのを思い出した。成長期に声変わりはしなかったし、のど仏は出てないし、体を殺すのもあまり苦ではないというようなことを言っていた。わたしとしては、ちょい悪役や敵役のお役を見たいのだけれど、松っちゃんをみていたら、信二郎さんのお女形を一度見てみたくなった。芝雀さんのおとよは、いるいる。こういうタイプの女の人って、とちょっとニンマリしてしまった。お梶のときはそうでもなかったが、おとよの声は雀右衛門さんそっくり。なんだかよくわからないうちに幕が降りたが、歌昇さんの行者さんの「なんなのこれ?」という最後の気持ちと一緒なんだろうな。

松太郎とおとよもかなりおかしなカップルだけれど、最初の長屋の夫婦もすごいインパクト。女房役の蝶紫さんの迫力に毒気を抜かれてしまった。(笑)舞台が回る直前に、再び登場したときに、半分開けられた戸の奥の部屋に倒れている旦那の構図がこの日のツボかも。

『寿式三番叟』

囃子方と竹本(五挺五枚)の編成の地方が迫力いっぱい。聞いてて気持ちが良い。見ていても面白い。演奏する方は大変そう。笛の鳳声さん、3本の笛をとっかえひっかえ吹いていたが、笛を間違っちゃったら大変(んなことはないだろうが(^^;) 鼓のテンポが早いので、掛け声と掛け声の間もかなり短いところが多くある。息継ぎをいつするんだろうとか酸素不足にならないんだろうか、ダイビングのシュノーケルと同じように息を強く吐けば自然に入ってくるのだろうか?

踊りの方は、種太郎くんがちょっと緊張した面持ちで千歳をつとめていた。翁の後は、亀治郎と染五郎の二人三番叟。二人の違いは、染五郎さんは音楽に合わせて踊っている。亀治郎さんは、囃子方とセッションしているような感じ。表現が適切でないかもしれないが、時々傳左衛門さんを挑発しているような感じで、その挑発された傳左衛門さんの鼓にさらに乗っかっていく感じがした。端正に踊っている染五郎さんよりも自由自在に動いている(ように見えた)亀治郎さんの方に目がいってしまう。(傳左衛門さん散髪されたのでしょうか。5日よりも髪が短いような気が...)

『夏祭浪花鑑』

中村屋版の夏祭しか見たことがないので、どうしてもところどころ比較して見てしまうところもあったけれど、劇場の雰囲気が違うせいか割合とすんなり吉右衛門版に入り込めた。とにかく吉右衛門の団七が「カッコイィ~」。正直な話、これまで吉右衛門さんのことを「素敵」とは思ったことはあるが「うわぁ~ カッコイィ~ 色気あるぅ~」と思ったことは一度もない。(ご贔屓さんゴメンナサイ) 見得の形もきれいだし、単に体格に恵まれているということだけでなく役者としての大きさや華やかさもあいまって、とにかく、二幕目や長町裏の場での花道での見得、本舞台での見得がきれいに決まる。長町裏の団七もさることながら、歌六さんの義平次の「ヤナ爺さん」ぶりがたまらない。長町裏では、見た目からしてヤナ感じ(笑)だけれど、二幕目の終わりに、琴浦を誘き出して駕籠に乗せて三婦の家から花道を引っ込むときに、そのセコさと小悪党ぶりが歩き方に出ていたのも印象的。

今回、石川五右衛門の方を優先して、夜の部を1F席にして、昼の部を3F席にしたのは作戦違いだったようだ。信二郎の一寸徳兵衛も思ったよりは大きく見えた。ただ、一幕目の団七との立ち廻りのときにお梶が間に割って入って三人が並んだときに、『ひと夜』の二人の残像がちょっとちらつくような気がした。

大好きな吉之丞さんが二幕目にずっと出ていたのが嬉しい。3年くらい前の納涼歌舞伎の牡丹灯籠での幽霊ぶりを見てすっかりご贔屓。舞台に出てきたときに「うゎ~ 幽霊だぁ」と見せる芸に感服。説明は一言もいらない。品があって素敵な役者さんだ。

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「歌舞伎」カテゴリの記事

コメント

kirigirisuさん、こんばんは。

いいですね~~そのおじ様。
同じ観劇するならそのような方のお近くで観劇したい(笑)。
「こりゃいい!」って感じがとても伝わってきます。
今年は観にいけなかったけれど、来年こそは絶対行きたい!演舞場って思いました。

投稿: rika | 2006年5月16日 22:21

コメントありがとうございました。

三番叟、亀治郎さんが挑発と読んで、そうかもと思いました。踊り手と囃し方・竹本が、ほんと素晴らしかったです。わくわくしました。
傳左衛門さんは、髪が伸びるのが速いのでしょうか。私も髪切った?といつも思っちゃいます(笑)

投稿: まこ | 2006年5月17日 00:01

そのおじさまとお連れの方はたぶん下町の方だと思うのですが、お話するリズムが良いんですよね。素直に「いいねぇ~」って楽しむのっていいなって思いました。今月は、演舞場も歌舞伎座も全体的に良い感じです。ぜひぜひ、来年の5月の演舞場歌舞伎にいらしてくださいね。

投稿: kirigirisu | 2006年5月17日 00:30

まこさん、こんにちは。
こちらこそ、いつもブログ楽しく拝見させていただいています。
三番叟は、見ごたえ聞きごたえがありました。
1月の浅草の「蜘蛛絲梓弦」の後半もちょっとそんな印象を受けたのですが、踊り手と囃子方が丁々発止とやりあうのは、見ていてとても面白いです。

投稿: kirigirisu | 2006年5月17日 00:39

演舞場昼の部良いですよねー。予想外にハマってしまっています。

ところで、信二郎さんの「女形をやってみたい」発言にビックリです。
そうなんですか~?!
去年の毛抜で驚いていたところ、更に上を行く展開があるかもしれませんね。どこかでそんな機会はないものかしら。

三番叟の亀治郎さんは、観客をも挑発しながら踊っている様ですよね。亀治郎さんの思う壺に興奮してしまった私です。

投稿: asari | 2006年5月17日 01:14

信二郎さんが気になり始めたのは、去年の鳴神だったのですが、ちょうどそのときに、柝の会のセミナーで信二郎さんのお話を聞く機会がありました。これからどんな役をやってみたいかという質問に対しての発言だったと思います。意外な答えにちょっと驚きました。
お祖父さま、お父様、お兄様が女形ですので、ご自分もという気持ちがどこかにあるのかもしれませんね。どこかでそんな機会があるといいですね。(^^)

投稿: kirigirisu | 2006年5月17日 12:32

私もおじさんですから、同じようなことをお連れの方に話していたような覚えが…(^_^;)。でも、三番叟のお二人は本当に素晴らしかったですね。とくに亀治郎さんは、夜のお七の人形振りも含めて、今月も切れの良い舞台を見せてくれました。

どちらにうとうか迷いましたが、こちらの昼の部のほうにTBをうちました。なお、ご挨拶が遅くなりましたが、拙ブログのBlogpeopleの登録させていただきました。

投稿: 六条亭 | 2006年5月17日 13:06

六条亭さん、コメントとTBありがとうございました。
14日にご覧になっていたのですね。もしかしたら、もしかでしょうか???(^^) リラックスして歌舞伎を楽しんでいらっしゃる方が側にいらっしゃるとその雰囲気が伝わってくるのかこちらもリラックスして見ることができました。亀治郎さん、今月も楽しませてくださいますね。(^^)

投稿: kirigirisu | 2006年5月17日 15:18

kirigirisuさん、こんばんは!
こちらでは初めまして(^-^ゞ

演舞場歌舞伎、昼の部も行きたくて相当悩んだんですよ~。レポを拝見させていただき、ますます行きたかったと思ってしまいました(今月は色々予定がありすぎて無理なんです 涙)。
信二郎さん、昼の部も素敵だったんですね~!
夜の部でかなり興味を持った俳優さんなので昼の部の素敵っぷりも観てみたかったです。
それから、三番叟!
野村萬斎さんの狂言での三番叟がとても好きなのですが、
亀治郎くんの挑発気味の三番叟というのも是非見てみたかったですねぇ。これもすごい興味あったんですよ~。

亀治郎くんは来年大河があるので、舞台活動はしばらく
お休みになりそうですね。テレビも楽しみですがなんとなく残念…。

また遊びに来ますね!

投稿: えりこ | 2006年5月18日 19:54

えりこさん、いらっしゃいませぇ~
今月の演舞場はなにげに信二郎さん奮闘公演でもあったようです。6月の国立劇場の歌舞伎教室もあるし、これからもまだまだ、色々なお役を見るチャンスがあると思います。

萬斎さんの三番叟はテレビでしか拝見したことないのですが、そのうち生でぜひ拝見したいと思っています。来週、期せずして茂山逸平さんの三番三を見ることできるようなので、こちらもちょと興味津々。

また、遊びに来てくださいね。わたしも、えりこさんのところにおじゃましに伺います♪

投稿: kirigirisu | 2006年5月18日 21:46

初めまして、事後報告ですが、トラックバックさせて頂きました。
いつも、歌舞伎のお話を楽しく拝見させて頂いております。
私の拙いブログよりも、わかりやすく楽しい書き方だと関心いたしております。

しかし、そのおじ様はいい方ですね…そういった方がお近くで観ておられたら、此方もいい気持ちになれますね。

また遊びに参らせて頂きます。

投稿: 花餅屋の太夫元 | 2006年5月24日 00:56

花餅屋の太夫元さん、コメント&TBありがとうございました。
歌舞伎を心から楽しんでいる方が側に座っていらっしゃると、こちらの気持ちも和やかになります。(^^) 
拙いブログですが、今後ともよろしくお願いします。

投稿: kirigirisu | 2006年5月24日 17:16

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