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2006年6月 3日

アマテラス@世田谷パブリックシアター

昨日、「とにかく、素晴らしい舞台で大満足」と書きましたけれど、実は、このコンサートに行くかどうか、ものすごく迷いました。5月11日から行われるということで、5月は歌舞伎+αで手一杯。もう一つの理由は、十数年前に初めて鼓童を見て大感激して、その後数年続けて見ていたのですが、ある時から興味が薄れてしまったため。プログラムに寄せられた永六輔さんのコメントの中に、鼓童の舞台に感動した若者がコンサートに行かなくなったのは「鼓童って、太鼓をたたいているだけなんだもの」と書かれていますが、わたしは、その逆で「鼓童が太鼓をたたかなくなってしまったから」。2年前に久しぶりに見た東京文化会館で行われたコンサートは、演奏者の人数も少なかったせいかプラグラムの構成も「なんだかなぁ...」という印象。

が、今回の「アマテラス」は、これまでの不完全燃焼気味な思いを吹き飛ばすかのように、最初から最後まで太鼓を中心とした構成。玉三郎さんとの演出&共演によって、以前よりもかなり洗練されたものになっていた。ゲンキンなもので、こんなに素晴らしいものだったら、もっと早くに行っていれば、もう一度見られたのにと後悔先にたたず。残念。京都までは行かれそうにもないけれど、秋以降に予定されている関東近郊の鼓童のコンサートには、俄然行く気になっている。

「アマテラス」の簡単なあらすじは、高天原でのスサノヲの乱暴狼藉に怒ったアマテラス大御神が天の岩屋に姿を隠してしまいこの世が暗闇に閉ざされてしまった。というころまでが第1部。困った八百万の神さま達が相談してアマテラス大御神を天の岩屋からでてくるようにと岩屋戸の前で囃し、踊り、アメノウズメノミコトが舞うという大宴会を繰り広げ、騒ぎを聞きつけたアマテラス大御神が岩屋戸から出てきて、この世に光が戻った。というのが第2部。全編、台詞なしに、演奏と歌と踊りで表現される。

第1部は、銅鑼の演奏から始まる。舞台には、大小様々な銅鑼が舞台装置の一部のように並べられていて、これも演出効果を高めている。NHKBSの情報番組で、玉三郎さんがアマテラスが岩屋戸から出るまでは難しいことではないけれど、岩屋に入るまでの表現が難しいと話していたけれど、最初の歌と演奏で高天原の平和な世界と、その後のスサノヲの乱暴な振る舞いを太鼓と布を使ってうまく表現していたと思う。海原を治めるスサノヲのシンボルとしての青色の布。青色といっても一色ではなくて、紺碧の日本海をイメージしたような色々な色で表現された海の青。布が動くたびに様々な海の表情を醸し出す。玉三郎さんは、太陽をイメージしたオレンジのグラデーションの布。この布の舞台効果も見事。

席が2階だったのですが、上からみた色の風合いが素晴らしい。玉三郎さんのサイトの今月のコメントによれば、染織家の方に特別に絹を染めてもらったそうだ。これを見に行くだけでも良いくらい。1部で玉三郎さん演じるアマテラスが羽織っていた紗のストールもなんとも言えない風合い。あれも特別に織られたのだろうか。

第2部は、これまでの鼓童のレパートリーも含めて、太鼓を中心とした演奏が続く。最初の仏具を使った(こんな風に使っちゃっていいんでしょうか?笑)コミカルな動きのトリオは、鼓童の新しいスタイルの一つでしょうか。これから何が始まるんだろうというワクワク感。次が堀つばささんを中心とした太鼓の演奏。順番は前後しているかもしれないけれど、巴を思わせるような演奏、それと大好きな三宅の演奏された頃は、わたしは、もう舞台に釘付け。お隣に座っていた外人のおねえさまは、すっかりノリノリ。この辺からは、「お客様も神様」状態。(笑)屋台囃子などとにかく鼓童のレパートリーのオンパレード。5人衆の踊りも楽しくて、わたしだったら、この辺で出てきちゃうかも。

その後アメノウズメノミコトの踊りがクライマックスで、アマテラス大御神が岩屋戸から登場。これがまた素晴らしくまぶしく美しいこと。元気いっぱいに楽しそうに演奏する鼓童の方々と不思議な存在感を醸し出している玉三郎さんとが一体となった舞台は、なんと言ってよいかわからない。とにかく素晴らしい世界。

なにが変わったって、鼓童のみなさんが楽しそうに演奏していたこと。以前はストイックさを前面に出していたこともある。それも悪くはないし、それが好きで見に行っていた感もある。でも、今回のように、演奏者も心から楽しそうに演奏しているのがこちらにも伝わってきて、会場全体が楽しい雰囲気に包まれたように思う。特に、坂本雅幸さん(だと思う)が、終始楽しそうな顔で演奏していたのが印象に残っている。

「ブラボ~!!」

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コメント

コメントありがとうございました。
私は、ただもう初めて生で感じる太鼓に大興奮。
お客さんも神様状態に同感。手拍子で参加できただけで、あとは楽しんでいただけですけど(笑)
鼓童単独のコンサートも、変わっていくのでしょうか。
私も行く気満々です。

投稿: まこ | 2006年6月 3日 18:54

あんなに楽しそうに演奏しているのを見たのは久しぶりというか初めてかもしれません。鼓童単独のコンサートも変わっていくのではと期待しています。(^^)

投稿: kirigirisu | 2006年6月 3日 19:28

>kirigirisuさま
書いたものが消えてしまってわーんというお気持ちよく分かります。書き直しありがとうございました。
感動と迫力はよっくわかりました。また,玉三郎丈の物語の組み立ても解説頂き,心して鑑賞することにいたします。
毎年6月は,京都先行で玉様が新しい試みをなさいますが,今年は東京から,完成度も上がっていることでしょう。舞台写真もはじめからあればいいなと願っております。
ワタクシも,たいていはじめにチケットを購入し,もう一度終盤に出向くことが多いです。シネマ歌舞伎もやっと京都へ…。6月の京都は玉三郎丈の月です。

投稿: とみ | 2006年6月 3日 19:45

本当に大興奮の公演でしたね。

私は玉三郎さんはちょっと脇に置いておいて(笑)、鼓童への興味がガーッと高まった公演でした。なので、10年前からご覧になっているというkirigirisuさんの記事を興味深く読ませていただきました。
単独コンサート、行きたいです!

投稿: asari | 2006年6月 3日 20:43

#とみさん
鼓童の方々の中にいる玉三郎さんのお姿が、溶け込んでいるわけでもないし、かといって異質な感じでもなく、調和とも違うなんとも不思議な世界を作っていました。衣装や舞台装置など細部にわたり玉三郎さんの美意識が反映されているように感じられました。京都では多少演出が変わる可能性があるそうですが、とにかく素晴らしいコンサートですので、お楽しみに!

#asariさん
鼓童も長い間活動しているうちには色々と試行錯誤もあるんだろうと思います。アマテラスの後にどう変わるのか、単独コンサート楽しみです。(^^)今回音楽監督をされた金子竜太郎さんがすでに構成を考えていらっしゃるようです。

投稿: kirigirisu | 2006年6月 3日 23:52

kirigirisuさんの強い「お薦め」を受けて、行ってきました千秋楽に!当日並んで、椅子席ゲットしました。「行きたいなあ」と思いながらも迷っていたので、背中を押していただいてよかったです。太鼓は大好きなのですよ。あのお腹にドーンと響く音が。もっともっと聴いていたかったです。

玉三郎さんは、千秋楽だからでしょうか、岩戸から出てきた後、鼓童の一人一人を回って微笑みながら目と目を合わせて会釈していました。「有難う」とでも言うように。鼓童のメンバーも太鼓をたたきながらそれに応えるように会釈していました。テレビ番組で見た鼓童&玉三郎の強い結びつきを感じました。

ドラマの部分で一番感動したのは、アマテラスとスサノオの対決でした。会話も出来事も全て太鼓の音で表されそこに象徴としての布がとてもうまく使われていました。言葉が一切なくても伝わるドラマ、これは海外にも充分持って行けるのではないでしょうか?あとは岩戸から出てきたところでもう少し歓喜の表現があったら言うことナシかなあと思いました。

投稿: 喜の字 | 2006年6月 5日 23:09

千穐楽は、いつに増してかなりの盛り上がりだったようですね。(^^)太鼓の音って「原始の血」が騒ぐっていうのでしょうか、なんとも言えない感覚に浸れるような気がします。1部で使われていたスサノヲの海色の布も素敵ですが、アマテラスが岩屋に隠れるときのアマテラス色の布の使い方も見事でした。音だけでなく視覚的にも強く印象に残る舞台でした。

投稿: kirigirisu | 2006年6月 5日 23:58

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