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2006年11月20日

お狂言師歌吉うきよ暦

大店の跡取りながらある事情で勘当され、芝居小屋河原崎座で働く信太郎を主人公にした「信太郎人情帖」シリーズは、芝居小屋の内情や芝居にまつわる話も書かれていて面白かったのですが、年月を経て信太郎の身辺も様変わりし、小説の舞台も芝居小屋から離れてしまいましたのでちょっとさみしい気分。

406213110201 その信太郎人情帖シリーズと同じ作者である杉本章子さんが書かれたお狂言師歌吉うきよ暦。お狂言師とは、「大名家の奥向きにあがって狂言や踊りをご覧に入れる女性」だそうです。詳しいことはわかりませんが、江戸時代には、自由に芝居見物もままらない大名家の女性達向けにお芝居や踊りを見せる女性だけの一座がいくつかあったようです。その一座に加えて貰えることになった町娘の歌吉が主人公。

「お軽勘平道行き」の勘平役でお狂言師としてのデビューが決まった直後に歌吉に降りかかる事件。思いがけずに「妖怪」こと鳥居耀蔵の側近である勘定奉行の行状を探るお小人目付に目を付けられお手先として動くことになってしまう歌吉。そのお小人目付の一人である日向新吾に対する歌吉の淡い思い。優男で剣豪、町人などに身をやつすのも得意な日向新吾のキャラもなかなか面白い。また、歌舞伎狂言や踊りの話、大名家の奥での芝居の様子なども織り交ぜながら話が進み、さらっと読みやすい一冊。

最後の頁を読み終えたときに、これで最後って言うことはないだろうなという終わり方でしたので、次のシリーズは?と思って調べてみたら、すでに「小説現代」では始まっていてますます面白くなりそうで連載される月が待ち遠し限り。このシリーズでは歌吉は「藤娘」を踊っていますが次のシリーズでは「鷺娘」を踊ることになっています。これが何を意味するんでしょう?そんな興味も抱かせる本です。

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