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2008年2月 1日

はじめての能・狂言

第6回伝統文化セミナー「はじめての能・狂言」@紀尾井小ホールに行ってきました。

【出演者】亀井忠雄(昼の部)、亀井広忠(夜の部)、大島輝久、茂山逸平(敬称略)

最初、昼と夜どちらに行こうか迷ったのですが、亀井忠雄さんのお話を聞く機会が少ないので昼の部にしました。最後に大島さんが、夜の部は、また趣向を変えてとおっしゃっていたので、ちょっと後ろ髪を引かれたのですが振り切って帰ってきました。

【追記】いつもおじゃましているmamiさんの"BoRN To be LIGHT...?"に夜の部がレポされています。広忠さんのお話やわたしが端折ってしまった能と狂言との違いについても詳しく紹介されています。(思いっきり他力本願ですみません(^^;;)

大まかなプログラム構成は、前半がレクチャー、後半が実演。前半の最初は、茂山逸平さんが一人で出ていらして、今日のプログラムの説明とお客さんがどの程度お能と狂言を知っているかをリサーチ。お能と狂言の違いについておおまかな説明。

その後に大島輝久さんが登場。実は、以前に大島さんの舞囃子を拝見したことがあるのですが、その時に結構怖いお顔だったという印象が残っていて、なんとなく無口でとっつきにくそうな方のように勝手に思いこんでいたのですが、別人のようににこやかなお顔でお話のとても上手な方でした。(失礼しましたm(. .)m)

長くなるのでたたみます。

で、お二人で、能と狂言の動きの違いを実演して見せてくださいました。色々と見せてくださったのですが、一番「へえ~」でしたのは、お能の立ち方。腰を落とすように立っているだとばかり思っていましたら、全然違うんですね。流儀によっても多少違うというお話でしたけれど、喜多流の場合は、すごい前傾姿勢。スキーのジャンプの姿勢と同じような感じでググッと前に倒しています。それから腰を引くそうです。普段は装束に隠れてしまっているのでこんなに前傾しているとは思いませんでした。ビックリ(@@)

そして、手は肘を張って、腕(かいなとおっしゃっていました)を内側にしぼる。全部の方向にテンションをかけて、体の中にエネルギーをためる感じ(もかしたら違う表現だったかもしれません)。剣道で竹刀をかまえただけでその人の力量が分かるように、お能もその人の立ち方(かまえ)を見ただけでその力量が分かるそうです。

もう一つわたし的に「へぇ~」でしたのは、お能で直面の男性は生きている人で、面をつけているのは大抵亡霊のような人だということでした。そう言われてみれば、数少ないお能体験を振り返ってみて納得。

狂言はお能のパロディの部分もかなりあるということで、棒縛りはお能の松風から拝借した部分があるとのことで、それをお二人で実演。こういうことを知っているとさらに狂言も楽しく見ることができるんでしょうね。

この後に舞台上に緋毛氈が敷かれ、亀井忠雄さんが登場。この緋毛氈の上に三人が座られて、亀井忠雄さんのお話を聞きました。主に、大島さんが聞き役。亀井忠雄さんが生まれたのが戦争が始まった頃で、お稽古を始めたのは、戦後、小学校に入るちょっと前くらいだそうです。この辺のお話は『能楽囃子方五十年―亀井忠雄聞き書き』(岩波書店)に詳しく書かれていますが、この本は残念ながら現在絶版。わたしは古書(といっても新品同様でした)で手に入れました。

鼓をやろうと本気で思ったのが小学校3年のとき。お父様やその先生の姿を見て決意。このお二方の演奏を後ろで聞いていて子供ながらに背筋がゾクゾクしたそうです。このときのお話で印象に残っているのは、基本をキッチリ教えることができる人がいて、それをキッチリ受け止める子供がいれば、伝統をつなげていくことができるということです。ご自身の場合は、手が届かないくらい遠くの目標にお父様と先生がいて、近くの目標に観世寿夫さんがいて、その人についていけばいつかは大きな目標に近づくことができるのではないかと思われたそうです。そういう人達の存在が非常に大きかったとおっしゃっていました。観世寿夫さんに憧れ心酔されていたことは『能楽囃子方五十年』でも触れています。

亀井忠雄さんのお父様の俊雄さんは舞台の途中で倒られたために、その時に後見をされていた忠雄さんがすぐにその後の舞台を替わって務められたという体験をされています。そのみごとな演奏は伝説的な話になっているそうですが、この話も聞き書きには書かれていますが、これまでにもあまり人にはお話になっていない様子でしたし、今もあまりお話したくないご様子。

若い頃は、なかなか大きな曲を演奏する機会がなかったので、お父様の後見をされているときに「オヤジ倒れろ!」と思ったこともあると笑いながらおっしゃっていましたし、広忠さんも時々そうおっしゃっていると大島さんも笑っていらっしゃいました。もちろん、実際に倒れて欲しいということではなくて、ご自分がその曲を演奏したいということだけですから、舞台の途中で、それも自分の目の前で倒られたのはショックだったでしょうし、本当におつらい経験だったんでしょうね...。逸平さんに「このときに、あなたのお祖母様からお手紙をいただいたんですよ」ってしみじみおっしゃっていました。

この後休憩を挟んで、

1.一調  道明寺   亀井忠雄  茂山逸平

2.一調  雲林院   亀井忠雄  大島輝久
(曲目の紹介のときに「うんりんいん」と聞こえたのですが、悲しいかなお能超初心者なんもので、漢字が頭に浮かんできませんでした。ネットで検索してみました。これであっていると思うのですが...)

意味はよく分かりませんでしたが、個人的に大島さんのお声が好きなせいもあって、聞いていて非常に心地よかったです。

3.狂言  独り松茸  茂山逸平

この後、再び大島輝久さんが登場して締めのご挨拶。そして茂山逸平さんも。夜の部は、年が近い3人なので、きっと和気藹々と楽しいレクチャーになっているのではないでしょうか。大島さんが最後に、お能は誰でも学べばある程度理解できるもの。お能を見て理解しようとするよりもそこから何か感じ取って欲しいとおっしゃっていました。

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コメント

うわーkirigirisuさん、昼の部にいらしたのですね!私も両方参加したかったのですが、都合により夜の部だけでしたので、様子が伺えて嬉しいです!
忠雄さんのお話貴重ですよね。大島さん逸平さんは、忠雄さんとの共演で緊張されてなかったのかしら。
実演は、狂言は同じものだったようですが、一調はおふたりとも違うものでしたね。
拙ブログでも、甚だ不十分ではありますが、夜の部の様子を書かせていただいていますので、ご覧いただいて不足分などお知らせいただけたら嬉しいです。

投稿: mami | 2008年2月 2日 00:42

kirigirisuさん、こんにちは。

私は先日「文楽レクチャー」に行って来ました(笑)。
初めてだったのですがとても楽しくて実際に公演を観に行く日が楽しみです。
同じころにちょうど逸平さんも出演される大蔵狂言を観に行くのですが、
狂言も観に行く前にこういうセミナーがあれば楽しいのにな~~と思っていたので、
kirigirisuさんのレポはすごくタイムリーでした(笑)。
・・・・・あとはお能だ(笑)。

投稿: rika | 2008年2月 2日 08:27

mamiさん、こんばんは

わたしも両方見たかったのですが、諸々の予定でどちらかになってしまったのが残念です。狂言とお能の違いのところは思いっきり端折ってしまいましたので、mamiさんの方が詳しく書かれていますので、追記で、記事のことをご紹介させていただきました。他力本願ですみません。(^^;;

やはりお若い二人は、かなり緊張されているようにお見受けしました。ただ、大島さんの方は、緊張されていはいるものの、忠雄さんの大鼓で一調ができるという機会を喜んでいらっしゃるような感じがしました。これも、お能と狂言の方の違いなのかもしれませんね。

投稿: kirigirisu | 2008年2月 2日 22:30

rikaさん、こんばんは

文楽も狂言もお能もなにも知らずに、えいやぁ~!って思い切って行っちゃっても全然OKですけれど、事前にレクチャーに行って見るともっと楽しく見ることができますよね。

逸平さんの狂言のお話は、mamiさんのところの方が詳しく書かれていますので、そちらをご覧下さいませね。そうそう、逸平さんが「茂山逸平と狂言へ行こう」というご本を出されているそうで、宣伝するわけではないけれどとおっしゃって、宣伝されていました(笑)

投稿: kirigirisu | 2008年2月 2日 22:39

リンクありがとうございます。こちらからも、「昼の部のことはkirigirisuさんのとこえろで!」とご紹介させていただきました。(事後報告ですみません)
kirigirisuさんのおかげで昼夜両方行けたような感覚で嬉しいです(^-^)

なるほど、忠雄さんの大鼓で一調など、若手の大島さんにとってまたとない機会だったのでしょうね。大島さんのお声、表情、私も大好きなのでぜひ聴いてみたかったです。

投稿: mami | 2008年2月 3日 12:06

mamiさん、こんばんは

夜の部はよっぽど残ろうかと思ったくらいなので、こちらこそ、mamiさんのところで夜の部の様子をうかがえて嬉しいです。(^^)

投稿: kirigirisu | 2008年2月 3日 22:11

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