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2009年2月10日

2月大歌舞伎@歌舞伎座 夜の部

今月は、大好きだった初代辰之助さんの思い出深い作品「蘭平物狂」がかかる夜の部を楽しみにしていたのですが、諸般の都合でやっと今日見に行くことができました。ちょうど2年前の2月に博多座で当代の松緑さんの蘭平を拝見しましたが、歌舞伎座で見るのは○十年ぶりでした。

『蘭平物狂』 初代辰之助さんの思い出深い作品ということもあって封印していたところもあるので、三津五郎さんの蘭平は八十助時代を含めて一度も見ていないので今回が初めて。大変失礼ながら後半の大立ち廻りを考えるとちょっと厳しいんじゃないかなと思ったのは全くの杞憂でした。というよりもわたしがこれまで少々誤解していたのかもしれませぬ。

『蘭平物狂』は、二代目松緑さんが「倭仮名在原系図」の1幕だけ復活されたもの。物狂いの踊りと大立ち廻りが主のザッツエンターテイメント! 八重之助さんが付けた大立ち廻りが眼目の一つではありますけれど、踊りの名手であった二代目松緑さんにあてて復活された演目だからこそ、物狂いの踊りが大きな見せ場。今回、師同様に踊りの名手である三津五郎さんが演じることで、この演目の面白さがよく分かりました。二代目松緑さんの蘭平は見ていないのですが、物狂いの踊りの所作でところどころ二代目松緑さんの姿が重なって見えてとてもなつかしく感じられました。

後半の大立ち廻りがあるので体力がある若い時の方が有利かなと思っていたのですが、今回三津五郎さんの蘭平を見ていて、若さよりもいかに踊りで鍛えられているかということが重要であるということがよく分かりました。また、蘭平と捕手のバランスを考えると経験豊富な円熟した役者さんが演じることで舞台全体の調和が取れるのでより美しく見えます。

さて、その大立ち廻りですが花道での大ハシゴの一番てっぺんで逆さまになるのは翔次さん。今日は、3Fで見ていたので、下の方の動きが半分くらいしか見えないこともあるのですが、オペラグラスにバッチリ翔次さんの姿を捉えてしまったので、そのまま逆さになる瞬間までずっと見つめてしまいましたlovely スルスルするとハシゴに登ってきてハシゴの一番上に腰をかけ息を整えて精神統一。十手の位置が気になるのか何回か位置を変えていました。三津五郎さんがハシゴの中段まで上ってきたところで逆さまに。大丈夫だと分かっていても、つい 両手を握りしめてしまいます(^^;

ハシゴが水平に降ろされる結構ギリギリまで逆さまになった状態でしたのでちょっとハラハラしてしまいました。が、そのハシゴの先をコントロールしていたのが左十次郎さんなのでほっと安心。その後、蘭平もろとも大ハシゴを一回転させるときに、大ハシゴの両端をコントロールしていたのが左十次郎さんと咲十郎さんでした。辰巳さんのトンボも華麗ですが、翔次さんのトンボは空中姿勢がとてもきれいなんですよね。とオペラグラスであれは誰?こちらは誰とおっかけていたら全体が見えなくなってしまいましたので、途中でやめました。全員がとんぼの後に倒れたときのフォーメーションが上から見てとてもきれいなのに感動。 

今回の立ち廻りでのわたし的要チェック事項のひとつ。蘭平が「繁蔵、繁蔵はいずくに...」と繁蔵を捜して呼びかけているときにかかってくるのは、やっぱりあの方? と思って狙って見ていましたら、やっぱり茂之助さんでした(^^;  これってお約束なんでしょうかしら(笑)博多座のときは下手から出てきたと記憶しているので下手をずっとみていましたら、フェイントで上手から登場されました。

30人が揃わないとできない大立ち廻り。それぞれの役者さんが持てるワザを最大限に活かして、そして出演者が総力を挙げてかからなければできない大立ち廻り。決して奇をてらったアクロバット的なものではなくて、歌舞伎役者だからこそできる立ち廻り。これも歌舞伎の貴重な財産のひとつです。

『蘭平』の立ち廻りについては、はなみずきさんのところに詳しいレポがアップされていますので、ぜひ、そちらをご覧くださいませ。

この後の『勧進帳』は、蘭平で体力を使っちゃったわけでもないのですが、珍しく途中で撃沈してしまいました(^^; 数年前に吉右衛門さんの弁慶を拝見したときは全体的にもっと余裕があって弁慶の大きさを感じられたのですが、今日の吉右衛門さんはちょっとお疲れ気味のようで、花道から舞台に入られてからもなんとなく元気がないご様子。力を振り絞っているというか絞りきってしまっているような台詞がとても重たく感じられました。冨樫との問答も噛み合っていないように感じました。

『三人吉三』 これはやっぱり通しで見たかったです。どうも大川端だけで終わりっていうのが中途半端な気がします。三人のバランスがもうちょっと取れている方がよかったのではないでしょうか。おとせの新悟くんが若いのに風情があってよかったです。

【観劇メモ】

<上演時間>

  • 蘭平物狂 16:30~18:05
  • 勧進帳 18:40~19:55
  • 三人吉三(大川端) 20:20~20:46

席:3F1列目やや下手寄り

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コメント

>歌舞伎役者だからこそできる立ち廻り
蘭平見たさに ^^; まいりますよ~歌舞伎座。
立ち回りレポをお待ちしておりました!ありがとうございます。
それぞれにちゃんとお役目があって、全員で舞台を作り上げることに集中している空気が、歌舞伎の立ち回りの醍醐味に思います。役者さんですよね~。
そうですか!やっぱり翔次さんですか!加賀鳶さんですね~(笑)。
翔次さんの軽々とした雰囲気♪いいんですよね! ^^
ますます楽しみになりました!!

投稿: 恵美 | 2009年2月11日 08:40

恵美さん、こんにちは

蘭平の立ち廻りはいつ見ても感動しちゃいます。
個人が持っているワザもさることながら
出演者全員の心意気があってからこその
大立ち廻りだと思います。
お楽しみに♪

ハシゴのてっぺんは翔次さんでしたよぉ~
華やかな場ではありますけれど、あの大ハシゴの
上で25日間逆さまになるのは、相当精神的に大変なんだろうなと、
近所のオバちゃんモード全開でございます(^^; 

投稿: kirigirisu | 2009年2月11日 11:25

10日の観劇、またニアミスでしたのね。幕間にはけっこうキョロキョロしていたつもりでしたのに、気がつきませんでcoldsweats02
蘭平は見事でしたね~。拍手と涙と興奮で、ボルテージ最高潮でした。
もう一度、今度は1階席で見ますが、もう一度上から見たいな、なんて思ってしまいました。

投稿: SwingingFujisan | 2009年2月11日 18:55

kirigirisu様は、初代辰之助丈の「蘭平」をご覧になってらっしゃるのですね~!! なんて素敵な思い出でございましょう。私は、当代松緑丈のインタビューか何かで、初代辰之助丈の「物狂い」の場面を少しだけしか見たことがないのですが、その「少しだけ」でも、惚れ惚れするような、歌舞伎のぜ~んぶの要素が入ったような蘭平でございました。

今月の「蘭平」も、当代三津五郎丈、今の三津五郎丈だからこその、舞台でございましたね。本当に感動でした。

お粗末な記事ですのに、リンク、恐縮です。ありがとうございます。SwingingFujisan様のコメントにもございましたが、また「上から見たい」気分で一杯でございます。

投稿: はなみずき | 2009年2月11日 19:43

SwingingFujisanさん、こんばんは

ありゃ、またニアミスでございましたようですね(^^; わたしも結構キョロキョロしていたのですが...

三津五郎さんの蘭平を拝見して、あらためてこの演目の面白さが分かったので、わたしも、なんとかもう一回見たいと思っています。

投稿: kirigirisu | 2009年2月11日 22:45

はなみずきさん、こんばんは

わたしは見たそばから忘れてしまうので(^^;、はなみずきさんの渾身のレポを拝見して、脳内ビデオを再生して楽しませて頂いています。

蘭平は、芯の蘭平はもちろんですが、名題下の役者さんの総力上げての熱い舞台に歌舞伎役者の心意気を感じます。なんとかもう一度見たいと思っています。

投稿: kirigirisu | 2009年2月11日 23:03

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